PowerPointファイル(.pptx)を開いて編集したいけど、PCにPowerPointがインストールされていない・・・なんて時はどうしますか?
昔はMicrosoft Officeを購入するしかなかったのですが、今や無料のPowerPoint互換ソフトがあります。
無料でPowerPoint互換ソフトが使えるなんて、いい時代になりました。
でも、互換ソフトとはいっても、本家Microsoft PowerPointとの違いが大きかったらガッカリですよね。
そこで、PowerPoint互換ソフト3つの性能を比較し、「どの互換ソフトがMicrosoft PowerPointを忠実に再現するか?」という観点で調べてみました。
PowerPoint互換ソフトとは?
PowerPoint互換ソフトとは、本家Microsoft PowerPointとほぼ同じ機能を持つソフトのことです。
Microsoft PowerPointで作ったファイル(.pptx)を開いたり、編集したり、印刷したりできます。
PowerPoint互換ソフトのメリット
PowerPoint互換ソフトの最大のメリットは、本家Microsoft PowerPointよりも安いこと。
Microsoft PowerPoint 2021(永続ライセンス)の価格は14,508円 (税込)。
一方、PowerPoint互換ソフトのWPS Office 2 Standard Editionは5,000円前後と3分の1の価格です。しかも、この価格でWord互換ソフトとExcel互換ソフトも使えます。
また、PowerPoint互換ソフトには有料ソフトと無料ソフトがあります。
無料ソフトならお金がかからずに使えますね。
PowerPoint互換ソフトのデメリット
PowerPoint互換ソフトウェアによっては、「Microsoft PowerPointで作ったファイルを読み込むとレイアウトが崩れる」という問題が起きたりします。
特に、無料のPowerPoint互換ソフトでは、PowerPointのファイルがまともに開けないことがあります。
互換ソフトは、極めて本家に近い状態を再現させているに過ぎないので、本物と違いがあるのは当然といえば当然。
PowerPoint互換ソフトを使うときは、Microsoft PowerPointと同じ性能を持っているかを確認する必要があります。
PowerPoint互換ソフト一覧
PowerPoint互換ソフトは有料・無料含めてたくさんあります。
ソフト名称 | 価格 | アプリ種別 |
---|---|---|
WPS Office 2 | 5,121円 ※Word/Excel互換ソフト込 | デスクトップアプリ |
Polaris Office | 4,378円 ※Word/Excel互換ソフト込 | デスクトップアプリ |
Thinkfree Office NEO | 5,900円 ※Word/Excel互換ソフト込 | デスクトップアプリ |
El Office | 2,750円 ※Word/Excel互換ソフト込 | デスクトップアプリ |
JUST Office | オープン価格 | デスクトップアプリ |
LibreOffice | 無料 | デスクトップアプリ |
Apache OpenOffice | 無料 | デスクトップアプリ |
Google スライド | 無料 | Webアプリ |
WindowsやMacにインストールして使う「デスクトップアプリ」が大半ですが、Webアプリもあります。
LibreOffice
LibreOfficeは、オープンソースのオフィスソフトウェアで、PCにインストールして使います。Windows・Mac OS・Linuxに対応。
LibreOfficeは、とても長い歴史を持つソフトウェアです。LibreOfficeの派生元となったOpenOfficeの初期リリースは2002年、その派生元となったStarOfficeの初期リリースは1985年と35年も前です。
世界各国の政府・地方公共団体・病院などで導入されているそうです。
LibreOfficeはMicrosoft Officeに相当するオフィススイートで、Microsoft PowerPointの互換ソフト「Impress」が含まれています。
オフィススイート名称 | LibreOffice |
PowerPoint互換ソフト名称 | Impress |
開発元 | The Document Foundation |
URL | https://ja.libreoffice.org/ |
対応OS | Windows, Mac OS X, Linux |
バージョン | 7.2 (2021/08/19リリース) |
Apache OpenOffice
Apache OpenOfficeもオープンソースのオフィスソフトウェアで、LibreOfficeの派生元ソフトウェアです。
2002年の初期バージョンリリース以来、約18年の歴史があり、累計2.9億回もダウンロードされているそうです。
「OpenOffice Impress」がMicrosoft PowerPoint互換ソフトに当たります。
OpenOfficeとLibreOfficeを比較すると、OpenOfficeの方がソフトウェアアップデートの頻度が低く、コミュニティの活動はそれほど活発ではないようです。実際、ここ最近は1年間で2~3回、バグフィックス版がリリースされているだけで、新機能追加は5年以上行われておらず、少々不安が残りますね。
オフィススイート名称 | Apache OpenOffice |
PowerPoint互換ソフト名称 | OpenOffice Impress |
開発元 | Apache Software Foundation |
URL | https://www.openoffice.org/ |
対応OS | Windows, Mac OS X, Linux |
バージョン | 4.1.11 (2021/10/06) |
Googleスライド
PCへのインストール不要で使えるのが、Googleスライドです。
実は、Googleスライドも以下の手順でPowerPointファイル(.pptxファイル)を扱うことができます。
- Googleドライブにpptxファイルをアップロードする
- ファイルをダブルクリックする
編集が終わった後は、pptx形式でダウンロードできます。
オフィススイート名称 | G Suite |
PowerPoint互換ソフト名称 | Googleスライド |
開発元 | |
URL | https://docs.google.com/ |
対応ブラウザ | Chrome, Firefox, IE11, Edge, Safari |
無料PowerPoint互換ソフトの性能比較
本家Microsoft PowerPointで作成したファイル(.pptx)を無料PowerPoint互換ソフトで読み込ませ、「どのソフトウェアが忠実に再現できるか?」という互換性の観点で性能をチェックしました。
性能を比較した無料PowerPoint互換ソフトは以下の3つです。
- LibreOffice
- Apache OpenOffice
- Google スライド
性能検証は、Microsoft PowerPointで作成した表や図形を含むファイルを読み込ませて判断してみました。
LibreOffice
LibreOffice Impressでの見た目は、特に違和感がなく、Microsoft PowerPointと同じ出来栄えに見えますね。
ただ、少々複雑な表は、罫線の一部(右端や下端)が見切れてしまいました。
Apache OpenOffice
Apache OpenOffice Impressは、点線の位置がずれて表示されてしまいました。図形も引き延ばされていて、形も少し違うようです。
一方、表は見切れることなく、すべての罫線が表示されています。
Apache OpenOfficeは歴史のあるソフトですが、残念ながら再現性はイマイチと言わざるを得ません。
Googleスライド
Googleスライドは、矢印の形がずれてしまっています。
表の罫線は正しく表示されていました。ただし、Googleスライドで対応していない機能についての警告が表示されているので、表のデザインによってはレイアウト崩れが発生するかもしれません。
PowerPoint再現性ランキング
無料PowerPoint互換ソフトのうち、本家Microsoft PowerPointの再現性ランキングは以下の通りでした。
第1位 | Googleスライド |
第2位 | LibreOffice Apache OpenOffice |
それでも、PowerPointファイルを互換ソフトで編集すると、本家のレイアウトとは異なってしまいます。
「でもこの程度のズレなら直すのはすぐだし、結局どれでもいいんじゃない?」という意見もあると思います。
直す箇所が少なく、かつ編集したファイルを自分でしか使わないならそれでもいいとかと。
でも、プレゼンテーションで使ったPowerPointファイルを相手に送付するときは要注意。
互換ソフトで正しく表示されていても、受け取り側の本家PowerPointで正しく表示したり印刷したりできくなる可能性があるのです。
日常的に使うなら有料ソフトという案も
無料の互換ソフトがたくさんあるのはありがたいことだけど、仕事で日常的に使うなら品質の高い有料ソフトを使う手もあります。
有料ソフトの場合は売り物なので、再現性がとにかく高いです。
たとえば、キングソフト WPS Officeの「Presentation」でさっきのファイルを開くと、図形が正しく表示されました。
表の罫線も、正しく表示されていますね。
ちなみに、WPS Officeは値段が5,000円くらい。
この値段で、PowerPoint互換ソフトに加え、Word互換ソフトとExcel互換ソフトまで手に入ります。
無料のPowerPoint互換ソフトで苦労するくらいなら、買ってしまってもいい値段かもしれないですね。